白内障とは

目はカメラに例えられる場合が多いですが、カメラのレンズに当たる水晶体が濁ってきた状態を白内障と言います。白内障になると見えにくい、かすむ、まぶしい、ダブって見えるなどの症状が出てきます。

カメラの仕組みと眼の仕組み

白内障の原因は加齢によるものが最も多いですが、それ以外にアトピー性皮膚炎などに伴う全身疾患に伴うもの、ステロイドに伴うもの、外傷によるものなどいろいろあります。

白内障の治療の時期

日常生活にそれほど不自由がない場合には進行のスピードを少し抑えるために点眼薬などで様子を見ます。ただ点眼薬だけでは一度濁ってしまった水晶体は元には戻りませんので視力を回復させることはできません。 「新聞やテレビがかすんで見にくい」、「車を運転すると対向車のヘッドライトがまぶしい」、「外にでると極端にまぶしい」など日常生活に支障が出てくる場合は白内障の手術を考えられたほうが良いでしょう。極端に進んだ白内障を除いて多くの場合は少し待ってもそれほど問題がありませんので、お体に御病気のある方などは体の状態が落ち着いてから手術を受けられたほうが安心です。

白内障手術の実際

白内障手術は多くの場合局所麻酔で手術が行えます。ですからご高齢の方でも安心して行えます。 眼の手術というととても痛いイメージがありますが、実は麻酔も良く効きますので、皆さん案外楽だったと言われます。 多くの場合白内障手術は超音波乳化吸引術で行います。黒目(角膜)と白目(強膜)の間に2-3mmの切開を入れて手術を行います。水晶体は袋にくるまれておりますので、 その袋(前嚢)に丸く窓を開けていきます。(図1)そして袋を傷つけないようにして水晶体の中身(水晶体核)を超音波で砕きながら吸引していきます。(図2)そして残した袋の中に水晶体の代わりとなるレンズ(眼内レンズ)をいれます。(図3)一度入れた眼内レンズは基本的には 一生使え、取り換える必要がありません。近年白内障手術器械が進歩した影響もあり安定した手術が行えるようになりました。 手術時間は一般の症例では10~15分です。

  • 図1
    図1:水晶体の前嚢に丸く窓を開けます。
  • 図2
    図2:超音波で水晶体を吸引除去
  • 図3
    図3:水晶体嚢に眼内レンズを挿入

画像参照先:日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)

眼内レンズの種類

白内障手術時に眼内に入れるレンズは、一般的には公的保険で使える単焦点の眼内レンズを使用します。単焦点眼内レンズは調節機能がなくなるため(老眼と一緒)、焦点(ピント)が合う範囲が1点になります。このため、術後は眼鏡が必要になります。 例えば遠くに焦点が合っている場合には近用の老眼鏡が必要となり(図1)、近くに焦点が合っている場合は遠方用の眼鏡が必要となります(図2)。
この欠点を補うために登場したのが多焦点眼内レンズです。
多焦点眼内レンズは、遠近両用眼鏡や遠近両用コンタクトと理論的には同じで、遠中や遠近距離に焦点を合わせることできます。(図3)多焦点眼内レンズは公的保険適応外です(自由診療)。

  • 図1
    図1:単焦点眼内レンズ(遠方)
  • 図2
    図2:単焦点眼内レンズ(近方)
  • 図3
    図3:多焦点眼内レンズ

画像参照先:日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)

ただ、レンズの構造が複雑なために、単焦点レンズに比べると、暗所で光が散乱し、光の周辺に輪が架かって見える現象(ハロ・グレア現象)やコントラスト感度の低下(見え方の質の微妙な低下)が起きる場合があります。 多くの場合頭が順応して徐々に症状が軽減してきます。

  • 図1
    図1:単焦点眼内レンズ
  • 図2
    図2:多焦点眼内レンズのハロ・グレア

画像参照先:日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)

詳しくは担当医・スタッフにご相談ください。また、多焦点眼内レンズは保険適応ではありませんのでご注意ください。
日本白内障屈折矯正学会の多焦点眼内レンズのサイトもご参考ください。
JSCRS(日本白内障屈折矯正手術学会)多焦点眼内レンズ情報

白内障術後

手術後はしばらく目が充血したり、ゴロゴロしたり、涙が出たりしますが1~2週でおさまってきます。手術直後はまだ少しかすんだ感じがあります。術後2か月間は術後の炎症を抑えたり、感染症を起こしたりしないように点眼薬をきっちりさすことが大切です。 術後の眼は外力に弱く、感染も怖いので目を強くこすったり、ぶつけたりしないで下さい。 白内障手術は濁ったレンズを取り換える手術ですので白内障の分のみ見やすくなりますが、ほかに御病気があると(角膜、網膜、視神経、脳などの異常)視力が出にくいことがあります。 現在使っている眼鏡も目のレンズが変わってしまうので作り直しが必要です。術後度数が変動しますので術後1か月位経ってからが良いでしょう。

当院の白内障手術申し込みから手術後の診察の流れ

手術申し込み後手術までに2回来院していただきます。

申込から手術、手術後の流れ
その後1週間目・2週間目:1か月後と徐々に診察間隔を開けていきます。

手術前の準備

  • 手術同意書の内容に納得された上でサインをし、当日までにご提出ください
  • 手術の4日前から眼を清潔にしておくために、目薬を開始していただきます
  • 手術に備えて、入浴・洗髪・爪切り・ひげ剃りをしておいて下さい

手術当日の準備・注意事項

  • 手術前に処置があります。来院時間に遅れないようにお越しください
    (注:手術の順番によっては、手術前の処置をするまでの待ち時間が長くなることがございますがご了承下さい)
  • 心電図を術中測りますので、緩めの服装でお越し下さい
  • お化粧はしないで来院してください
  • アクセサリー類は手術前に外しておいて下さい
  • 補聴器は手術をする眼と同じ側(右眼の手術なら右の補聴器)は外して下さい
  • 手術をする眼と反対側の補聴器はつけて頂いて構いません
  • 内科で処方されているお薬は、いつも通り服用してきてください
  • お食事はいつもどおり、摂っていただいて問題ありません。特に糖尿病で服薬インスリン中の方は昼ご飯は必ず食べてきてください
  • 眼帯は翌日まで外さないでください 翌日の診察でスタッフが外します

その他

  • 家事・事務作業程度は、手術翌日から可能です。
  • 飲酒は1週間禁酒です。
  • スポーツなどは手術2週間後から可能です。
  • プールなどは、手術後6週間は控えてください。
ページトップへ戻る