はじめに

加齢黄斑変性や高度近視に伴う脈絡膜の新生血管や糖尿病網膜症における新生血管の発生には血管内皮増殖因子(Vascular Endothelial Growth Factor, VEGF)という物質が大きく関与していることが判っています。また糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性の黄斑浮腫の発生にもVEGFが関与しています。
2009年頃から我が国でも加齢黄斑変性に対してこのVEGFを抑える抗VEGF阻害薬を目に注射(硝子体内注射)することによって治療を行うことが可能になってきました。
日本では加齢黄斑変性に対してペガプタニブ(マクジェン)・ラニビブマブ(ルセンティス)・アフリベルセプト(アイリーア)の3種類が日本で保険治療の適応となっており、その後ルセンティス・アイリーアが糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、病的近視に伴う脈絡膜新生血管に対しても適応となりました。
当院ではルセンティス・アイリーアの硝子体内注射を行っております。

高島眼科 院長 医学博士 高島 保之(たかしま やすゆき)

硝子体内注射について

最初は病状が安定するまで1か月毎硝子体内注射をします。
硝子体内注射は感染症が怖いので手術室で行います。目をしっかり消毒をしてから注射をします。注射そのものは数十秒で終わります。

© Japanese Ophthalmological Society

合併症

硝子体内注射の傷口から細菌が入り細菌性眼内炎を起こす事が報告されています。頻度は、1回注射あたり約2000分の1程度と極めて稀ですが、一旦発症すると重篤な視力障害を引き起こす可能性があります。そこで術前・術後の抗生剤点眼使用や生活の注意点などを守ってもらいます。
目に注射したVEGFが全身にも影響を及ぼす可能性があります。脳卒中の副作用報告もありますので、最近脳卒中の既往のある人はお申し出ください。

費用

VEGF阻害剤は非常に高価な薬剤で、薬剤だけでルセンティスが15万7776円、アイリーアで14万2605円です。
健康保険の3割負担の方で4万8000円前後、1割負担の方で1万6000円前後となります。70歳以上で高額療養費制度の適応になる場合があります。
高額療養費制度について(ノバルティス ファーマ株式会社)のページをご参考ください。

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